【株式会社伊藤園(2593)】2025年4月期 第3四半期決算分析レポート
1. 会社概要
株式会社伊藤園(コード:2593) は、日本国内外で茶飲料や飲料製品を展開する大手飲料メーカーです。特に「お~いお茶」ブランドを中心とした緑茶飲料の販売に強みを持ち、持続可能な農業との連携を推進しています。また、タリーズコーヒー事業などの飲食関連事業も展開し、多角的なビジネスモデルを確立しています。
2. 決算概要(2025年4月期 第3四半期)
(1) 経営成績(単位:百万円)
項目 | 2025年4月期 第3四半期 | 2024年4月期 第3四半期 | 前年比 |
---|---|---|---|
売上高 | 360,893 | 346,251 | +4.2% |
営業利益 | 17,808 | 21,758 | △18.2% |
経常利益 | 18,255 | 22,981 | △20.6% |
親会社株主に帰属する四半期純利益 | 11,367 | 14,243 | △20.2% |
営業利益率 | 4.93% | 6.28% | △1.35pt |
✅ 良い点
- 売上高が前年同期比+4.2%増加し、事業規模を拡大。
- 主力の「お~いお茶」ブランドが堅調に推移。
- インバウンド需要回復により、一部カテゴリーの売上が好調。
⚠️ 課題
- 営業利益・経常利益・純利益ともに前年同期比で20%以上の減少。
- 原材料・物流コストの上昇による利益圧迫が続く。
- コスト増加に対する価格戦略が求められる。
(2) 財務状況(単位:百万円)
項目 | 2025年4月期 第3四半期 | 2024年4月期 | 前年比 |
総資産 | 331,023 | 353,892 | △6.5% |
純資産 | 175,831 | 183,216 | △4.0% |
自己資本比率 | 52.6% | 51.3% | +1.3pt |
✅ 良い点
- 自己資本比率が52.6%に上昇し、財務安定性が向上。
- 負債の適正化が進み、財務健全性を維持。
⚠️ 課題
- 設備投資・物流コストの増加により、資産規模が縮小。
(3) 配当情報(単位:円)
項目 | 2024年4月期 | 2025年4月期(予想) | 増減 |
年間配当金 | 42.00 | 44.00 | +2.00 |
配当利回り | 1.8% | 2.0% | +0.2pt |
✅ ポイント
- 年間配当金は44円に増配予定(+4.8%)。
- 安定した株主還元を継続。
(4) 業績予想(2025年4月期 通期)
項目 | 2025年4月期(予想) | 2024年4月期(実績) | 前年比 |
売上高 | 466,600 | 453,900 | +2.8% |
営業利益 | 26,500 | 25,000 | +5.9% |
経常利益 | 26,700 | 26,675 | +0.1% |
当期純利益 | 17,200 | 15,650 | +9.9% |
1株当たり利益(EPS) | 140.70円 | 132.50円 | +6.2% |
✅ ポイント
- 売上高+2.8%、営業利益+5.9%と成長予想。
- コスト対策と新規市場展開が今後の焦点。
3. 業界動向と競合比較
- 国内飲料市場は緩やかに成長。
- 競合(サントリー、キリン)と比較し、健康志向ブランドの強みを活かす戦略が求められる。
- コスト上昇圧力の対応が重要な課題。
4. 総評(100点満点評価)
項目 | 点数(25点満点) | コメント |
財務健全性 | 22 | 自己資本比率の上昇により、財務の安定性が向上。 |
成長性 | 20 | 売上は増加傾向だが、利益成長に課題あり。 |
市場ポジション | 22 | 国内外でブランド力を維持。 |
将来性 | 21 | コスト増の影響を克服できるかが鍵。 |
総合評価 | 85点 | 安定したブランド力を持つが、利益成長の課題を抱える。 |
📌 注意事項 本記事は公開情報に基づき作成されたものであり、特定の投資判断を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴いますので、ご自身の判断で慎重に検討してください。
出典: 株式会社伊藤園 2025年4月期 第3四半期決算短信(公式IRページ)
今後の焦点は、コスト管理の強化と新市場開拓の推進。持続的な成長のために、価格戦略の見直しと効率化が求められます。
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